雨の日に
そういやナメクジを見ないな、と思った。
昔は、雨の前か後には必ずと言っていいほどブロック塀をのぼる「奴ら」がいたはずだ。その度にぎょっとして、このやろう!とか呟いて、小走りで駆け抜けた記憶がある。別にナメクジに風情を感じるわけではなく、むしろこの世で指折りの不快な生物だとすら思っているけれど、なんだかんだ見かけなければこうして文をしたためるくらいの情はあったのだ。
過去は水に流してしまおう!だからでておいで……と考えながら、濡れた塀を横目で見ていた。
すると。
ミミズを踏んだ!雨の日になると出てくるのはやめて!
うわっ!動転している隙を狙って目の前にナメクジが現れた!
やっぱり出てこなくていいよ……